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悪夢
いつもどおり、近所を散歩する。
ふらふらふらふら、ただひたすら歩いていた。
ずうっと歩き続けていて、気づいたら隣の市である"茅ヶ崎市"に来ていたようで、驚いた。
驚いたけれども、それと同時に嬉しさもあった。
このままウロウロしていたら、茅ヶ崎に会えるかも、と。
案の定、そのままふらふら市街地の方へ歩き続けたら、茅ヶ崎がいた。
我ながら、隣の町からここまでかなりの距離、よく歩いてこれたと思う。
私は見つけられた嬉しさと、いつも通り声をかけたら私を見て、苦笑いで「何をやってるの?」とか、そんな感じで声をかけてくれるだろうと信じて私は彼女に声をかける。
「茅ヶ崎!」
すると彼女は私の方へ振り向く。
そして、何故か知らない人を見るような、訝しげな表情をして、こんなことを言った。
「あんた、誰?」
と。
聞き間違えだと思った。聞き間違えであってほしいと願った。だから、冗談だよね?と問うた。
それでも答えは、
「私、あなたみたいな人知らないの。大丈夫?見たところ、うちの方では見かけない顔だけど…どこから来たの?」
嘘だ。
嘘だと言って。
いつも彼女はだって、自分より私の世話をしてくれる。
流石に申し訳ないからいつもごめんね、と言うとやりたいからやっている。と言う。
こんな自分を一番見てくれてる人であるのに。
「嘘だよね?」
声に出す
「嘘だって言ってよ」
さらに続ける私に彼女は困惑する。それでもお構い無しに続ける。
「忘れないで…」
「私という存在を、忘れないで!」
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