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ニヤニヤしながら「あんまやり過ぎると太郎くんに嫌われちゃうぞ」と囁く相手の腹には拳をめり込ませる。
「ぐふぅッ」と呻き声が聞こえたが知らん。
勝手に口にするなつってんのに何度も太郎の名前を呼ぶ奴が悪い。
「ひ、ひどいよ弘毅! せっかく充陽さんが」
「あ? ひどいのはどっちだ。俺がお前を好きだって知ってんのに、他の野郎と絡みあう姿が見たいだ? こともあろうに目の前でまぐわえ? キス? 濃厚なベロちゅう? その上堂々と浮気かよマジ信じらんねぇな。チッ、何が『充陽さん』だふざけやがって」
「へ? いや、だって。う、浮気?」
俺は黙って太郎の手からスマホを取り上げた。
「こ、弘毅?」
共同スペースにあるテーブルの上にスマホを置き、ソファに座る。無言のままジェスチャーで太郎を呼べば怖がりながらも寄って来るし。
そのアホ素直さが今は可愛くて憎らしいわ。
距離をあけてソファの隣に座った太郎。
目が合った途端に逃げようとするのをつかまえて押し倒す。そのままガチャガチャと互いのベルトを外し――
「なっなな何っ、何して」
「あ? さっきのお前のリクエスト『相手の股間の凶悪なブツを取り出し、その大きな手で互いに扱き合う』んだろ。お前のは見た目もサイズも可愛らしいけどな。それとも先に『濃厚なベロちゅう』の方が良かったか?」
「え」
「あとは……確か『先にイった方が負け』なんだっけ? 『負けた方は唇を噛み締めつつも自身の最も恥ずかしい場所に相手の指を迎え入れる』んだろ。男と男の真剣勝負らしいからな、俺が負けたら潔く迎え入れてやるよ」
「え。えええっ!?」
俺の言葉に驚く太郎。抵抗するのも忘れて真っ赤になってやがる。本人が気付かぬうちに下着の中から取り出されたタロウも既にやる気のようだ。
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