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「家にいろってことですか?」
熱くなっていることが彼の文面から窺える。康子は辛抱強く伝え続けた。
「今は身の安全を優先するべきだと思う」
そう送信してから立て続けに、康子はさらに書いた。
「家にも居辛い?」
躊躇いがちな間。その後、メッセージが送られてくる。
「うん……」
「だったら図書館行けばいいんじゃない? 勉強だけなら図書館でもできるよね」
そしていちばん大事な一言をもう一度送る。
「殴られるために学校へ行ってるんじゃないんだから」
「死のうなんて考えないで、と言われるかと思ってました」
「もちろん考えて欲しくない。楽しくメール交換していたいけど、それは私のわがままだしね。思ってもいい、吐き出してもいい。自殺しようとしたら踏み留まって」
書いているうちにスマホの上に康子の涙が落ちる。いくらあかりと重なり合っているとは言え彼女自身ではないのだ。本当は娘に掛けてあった言葉。
「一日とは言わない。とりあえずもう一分だけ、生きてみない? 何か楽しみにしていることない? 例えばゲームの続きでもいいから」
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