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 康子はそうメッセージを送った後、天井を見上げた。健太には真意が届いたのだろうか、。もしかしたら偽善的な自己陶酔として受け取ったのかもしれない。しかし今は正確に伝わらなくてもいいと思っていた。 「そうですね。楽しみにしてること……ですか」  健太は考え込んでいるらしい。やや間があって、マンガを楽しみにしていると打ち明けた。 「だったら、新刊の発売日まで生きなきゃね。何ていうマンガ?」 「え?」  健太からはそうメッセージを送られてくる。顔文字で驚きを表していた。そして彼の返信にはさらにこう書かれていたのである。 「あかりさんの新作ですよ。また、マンガ見せてくださいね」 「描けたら見せるね」  康子はそう送った後、頭を抱えた。あかりと違って、康子はマンガを描いたことなど一度もないのだ。描かずとも歪な輪郭が目に浮かぶようだった
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