ラルグルドがやってくる

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ガバッ!! 「はぁ…はぁ…はぁ」 女性はベッドから勢いよく上半身を跳ね上げて起き上がった。 心臓の動悸(どうき)が止まらない。冷や汗がダラダラと流れ出るような気がする。 冷や汗を軽く袖で拭い、女性は落ち着くために水を飲みに行った。 熱い体に水がよくしみ込む。 ほうっと息を吐き、おもむろに机に目をやる。 そして自分が愛用している睡眠薬を見て、女性は驚愕した。 その薬には「ラルグルド錠」と書いてあった。 子供がいなければ、もっと楽に生きられたかもしれない。 しかし、子供がいなければきっと助からなかっただろう。 変わらなければいけないと女性は思った。 もうラルグルドなんかに捕まってはいけない。 女性は睡眠薬の入った袋を手に取り、手で小さくクシャクシャに丸めて、 ゴミ箱に投げ捨てた。
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