0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここは?」
そこは辺り一面、綺麗な花畑だった。
ラズベリー、パンジー、名も知らないような小さい花、色々な花が広がっている。
肺いっぱいに空気を吸い込むと、花独特の匂いがとても心地よかった。
女性はなんとなく嬉しくなって、その花畑に大の字に寝転がる。
こんなに心地いい感覚は久しぶりだった。
夢見心地で空を見ていると、空に小さな亀裂があるのが見えた。
不思議に思った女性はその亀裂をじっと見つめていると、
亀裂は徐々に広がっていき、空に大きな穴が開いた。
そこには黒い目をした、爬虫類を彷彿とさせるような化け物がじっとこちらを見つめている。
「ひ!?」
息を飲み女性はその場から立ち上がり必死になって走った。
「はぁはぁはぁ…」
息を荒くして後ろを振り向くと、自分よりも何倍も大きな化け物が時分に迫ってきているのがわかる。
心臓が傷むのも構わずに、必死に手足を振って走る。
しかし、大きさがあまりにも違うそれは、やすやすと女性に追いつき、
鋭い爪のついた手で女性をぎゅっと握りしめるように捕まえた。
「ぐろろろろろお」
低いうなり声をあげて、女性を見つめると、その化け物は大きく口を開けた。
そして、鷲掴みの女性を自分の口めがけて近づける。
(食べられる!?)
そんなとき、ふと息子の話を思い出した。
『悪い眠り方をするとラルグルドがやってきて食べられてしまう』
きっとこれはその悪い化け物なんだと。
どうすればよかったのかを必死に考える女性。
「助けて!!!!!!!!!!!!!!」
女性は息子の名前を大きな声で叫んだ。
すると、ラルグルドがやってきた穴の方から自分の子供がやってきて、
ラルグルドを羽交い締めにして身動きを縛る。
ラルグルドは子供から逃れようと必死にもがく最中、女性は手から逃げ出すことに成功した。
息子はにっこりと女性に微笑み、ラルグルドが入ってきた穴の方に向けて指を向ける。
あっちの方に逃げろと指示を出していると本能的に察知した女性は必死になってその穴めがけて走る。
そして、穴にたどり着いた。
最初のコメントを投稿しよう!