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「アポロ、追いかけて来てくれたのね。」
「ぼくもいるよ。アルテ。」
いつのまにか、私の三日月よりも鋭くとがった針のような糸月の顔は、ふたつの優しき恒星の光によって、ほんのりピンク色に輝く満月になっていた。
「もちろん、アポロニウスにプロメトロイ、あなたたち2人の光がそろえば、ほんとうの太陽にも負けないくらいの優しさが、私の中に、そしてすべての生きものにめばえるわ。
“太陽と月の一千一百一会の刻、闇より双極の救世の使者出で、人形の民すべからく救われん。”
あなたたちが、伝説に語られていた、双極の救世の使者だったのね。」
私がふたりにそう言うと、アポロは珍しくキザにこうつぶやいたのだった。
「いいや、双極の救世の使者とは、なにも2人だけに限ったことではありません。
太陽が輝けば月も光り、陽が差せばそこに陰ができる。
生きとし生けるもの、いや、生があれば死も訪れるので、死んでいったものたちも含めてこの世界のすべてが、双極の使者なのだと言えるでしょう。
もちろん、アルテ、あなたも。」
「あ、ちょっとアポロ、きみばかりずるいぞ!
カッコいいセリフはきやがって。
ぼくもなんか言おうかな。
あれ、なにも浮かばないや。」
ふふ、プロメは昔っから面白い人だったね。
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