1.辻祐樹という幻覚者 箱庭百合音という砂糖菓子

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今迄脈打っていたそれを飲み込み、溜息をつく。 私は手に付いた赤を綺麗に舐めとった。 服についたそれはもう既に黒く変色している。 ああ、勿体無い。 せんせ、ともう動かない肉に話しかけてみる。当然返答はない。 先生は歪んだ瞳を持っていた。先生は私が、砂糖と少しのスパイスと、綺麗な何かで出来ていると最期まで信じていたのだろう。 馬鹿だな。私はそんなに、愛らしい生き物じゃない。 そんな物で出来た生き物なんて、この世界には居ないって言うのに。 私は怪物。愛を喰らうばけもの。私を愛したにんげんの肉は、何よりも甘くて美味しい味がする。 丁度・・・砂糖菓子のように! つるりと歪んだ瞳を飲み込み、埃を払って立ちあがった。 ふと、違和感に気付く。 先生が、プラスチックと壊れた眼鏡と古びたロザリオで出来ている。 私を見て悲鳴をあげた彼女は、パンケーキとプリクラと陳腐な恋愛小説で出来ていた。 -fin-
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