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顔がさらに喉に近づく。体を引こうとしても、砂糖菓子の意外に強い腕力がそれを許さない。
すん、と彼女は鼻を鳴らす。
「先生はいい匂いだな」
そんなこと。特に香料なんかはつけていない・・・
「本当に」
砂糖菓子が口を、ラズベリーのような口を開く。
その中には、砂糖菓子の口どころか、どんな少女にも、どんな人間にも似つかわしくない・・・
獣の牙。
「美味しそうだ、私を愛した先生は」
がぶり。
俺の喉が、紅い、朱い、赤い液体をまき散らす。
液体が肉を咀嚼する砂糖菓子へと降りかかる。
ああ、そんなところにいては汚れてしまう。どかさなくては。
激痛に揺らぐ意識を、砂糖菓子へと向ける。
砂糖菓子は既に喉の肉を飲み込み、次の肉へと手を伸ばそうとしていた。
血に塗れた砂糖菓子。 そんな姿も・・・
綺麗だと、おもった。
砂糖菓子の赤く染まった白い手が、心臓へと伸びる。
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