1.辻祐樹という幻覚者 箱庭百合音という砂糖菓子

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顔がさらに喉に近づく。体を引こうとしても、砂糖菓子の意外に強い腕力がそれを許さない。 すん、と彼女は鼻を鳴らす。 「先生はいい匂いだな」 そんなこと。特に香料なんかはつけていない・・・ 「本当に」 砂糖菓子が口を、ラズベリーのような口を開く。 その中には、砂糖菓子の口どころか、どんな少女にも、どんな人間にも似つかわしくない・・・ 獣の牙。 「美味しそうだ、私を愛した先生は」 がぶり。 俺の喉が、紅い、朱い、赤い液体をまき散らす。 液体が肉を咀嚼する砂糖菓子へと降りかかる。 ああ、そんなところにいては汚れてしまう。どかさなくては。 激痛に揺らぐ意識を、砂糖菓子へと向ける。 砂糖菓子は既に喉の肉を飲み込み、次の肉へと手を伸ばそうとしていた。 血に塗れた砂糖菓子。 そんな姿も・・・ 綺麗だと、おもった。 砂糖菓子の赤く染まった白い手が、心臓へと伸びる。
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