一章 発現

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俺が部屋に戻ると、豆丘さんはすーすーと寝息を立てていた。 (……疲れてたんだな) そう言いつつ自分も欠伸が止まらず、思わず苦笑する。(俺も寝よ) と、冷房のタイマーを設定し椅子に座り、そして机に突っ伏した。 (なんか学校で居眠りしてるみたいだな) なんて思いながら俺は眠りの世界へ旅立っていった。 無機質な電子音が周りの人間に朝だと知らせを出す。 びくっと体が跳ね、手探りでスマホを見つけ目覚ましを消した。 「……ん」 と体をのそりと動かし欠伸をしている男の目に覇気はない。 眠りに落ちてから4時間も経っていないのだ。 無理もないだろう。 「あーすげぇ眠い……」 のろのろと立ち上がり、ハンガーにかけられた制服を手に取る。 そして着替えようと短パンに手をかけた瞬間、彼はこの部屋に今一人じゃないことを思い出す。 布団の方を首をやると、まだ熟睡中の豆丘木葉がそこにはいた。 彼はそちらを気にしながら手早く、裾に足を通し袖に腕を通す。 そうして着替えが済むと彼はため息をつき、「家での着替えで疲れたのは初めてだな……」と机の上のスマホで時間を確認する。 いつものペースなら間に合う時間だった。 ぐぐっと伸びをして、彼は階段を降りた。 
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