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さすがクール王子、対応も超クール。怯みそうになりながらも深呼吸をして、しっかり彼を見据える。
よし、頑張るぞ!
そう意気込んでから、私は告げた。
「宙斗くん、好きです。私と付き合ってください!」
ここまでが、宙斗くんのクール王子像が崩れるまでの三時間前。あの、耳を疑うような情けない叫びを聞く前の出来事だ。
そして時は、私の告白後に戻る。
「ち、近づくな。一歩でも近づいたら許さない!」
目の前で慌てふためく宙斗くんと、唖然と立ち尽くす私。なんてシュールな光景なんだろう。つい数秒前に散々なフラれ方をしたというのに、今はショック以上に困惑している。
「あのう」
「ヒッ、喋るな!」
――ひどっ! 近づくな、視界にも入るな、喋るなって……。
「じゃあ私は、宙斗くんとどうやってコミュニケーションをとればいいの?」
「とらんでいい!」
「じゃあ、私を見なくてもいいから喋るのだけは許してよ」
私は今の距離からできるだけ動かずに、そっとしゃがむ。それだけで、尻餅をついている彼の肩がビクリと震えた。
なんか、百七十センチ以上あるはずの大きな宙斗くんが、今は小動物に見えるのはなんでだろう。
苦笑いを浮かべながら、頑なに片手で目を塞いでいる彼を見つめる。
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