①クール王子の彼女(仮)になります。

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「さしつかえなければ、教えてほしいんですが……。なんでそんなに、私は怖がられてるのでしょうか?」 「差し支えある」  チーン、会話終了。この人、クールなんじゃなくて、ただ人と離せないだけなんじゃ?  次の会話の糸口を探して、また数分経過する。もう、誰か助けて! と、沈黙に発狂したくなった。 「あ、あのさ? ちなみに私だから嫌なの?」  どうしよう、お前が嫌いなんだって言われたら。  私は一年間ずっと、きみが好きだった。何度、一緒に手を繋いでデートする妄想をしたかわからない。  今までの私なら絶対着なかった短めのスカートを買ってみたり、髪型に編み込みをプラスしてみたり。いつか叶ってほしいって背伸びして、努力してきた。  そんな時間さえ、きみのためと思えば私は楽しかったのにな。でも、嫌われてたなんて言われたら、少し……ううん、かなり痛い。想像だけでも胸が張り裂けそうだ。 「俺は……」  ゴクリと唾を飲み込む。これから死刑宣告でもされるみたいに、心臓をバクバクさせながら言葉の続きを待った。 「女が嫌いなんだ」 「……へ、へぇ……女の子が嫌い、なんだ……」  ああ、私が嫌いなわけじゃないんだ。よかったーって、うん? それって私がうんぬん関係なく、生理的に受け入れられないってことではないか。     
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