①クール王子の彼女(仮)になります。

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「全然、よくないじゃん!」  他に好きな人がいるならまだしも、まさか女嫌いの壁に恋を阻まれるとは思ってもみなかった。 「ちょっと待って、じゃあ宙斗くんは女の子が苦手なだけ? それとも恋愛対象が男――」 「それはないから安心しろ」  食い気味に答える宙斗くんに、私は瞬きを繰り返す。 「そ、そう……でも宙斗くんモテるから、こうして呼び出しされたり、取り巻きだっているでしょ? その、大丈夫なの?」  ――って、呼び出した私が言うのもアレだけど。  毎日、彼の周りには女の子たちがいる。そのクールな雰囲気に近寄る勇気まではないみたいだけど、一定の距離で囲っているのだ。 「大丈夫じゃないから、取り巻きは全部じゃがいもだと思ってる」  遠い目をした宙斗くんは、悟りを開いた僧侶のように言った。それだけで、宙斗くんの苦労が窺える。 「じゃ、じゃがいも?」 「告白される危険を察知したら、速攻で早退するかして逃げる」  察知って、宙斗くんにはレーダーでもついてるのかい。そこまで来ると、相当女嫌いを拗らせてるなぁ。 「でも、今日は私に捕まっちゃってるけど?」 「お前に対してだけ、レーダーが働かなかった」     
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