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つまり、遠回しに早く立ち去れってことね。でも、宙斗くんをこのままほっておくなんてことできない。余計なお世話かもしれないけど、好きな人だからきみのためにできることはないかな。
「あ、そうだ!」
ひとつ、名案が浮かんで私は両手をパンッと叩く。
「あの、私が宙斗くんのボディーガードをしましょうか?」
「は?」
口をあんぐりと開けた彼の顔には、意味不明って書いてある。
「私が近づく女の子から守ってあげれば、宙斗くんは生活しやすくなるじゃない?」
……っていうのは建前で。まずは宙斗くんに近づいて、女の子嫌いを克服してもらおうと思う。女の子のいいところを、ここぞとばかりにアピールする作戦だ。でないと恋を始めるどころか、友達にもなれない。
「それは、確かに」
あ! 宙斗くんが乗ってきた! これは、このまま押せばうまくいくかもしれない。
「でしょでしょ、この私に任せなさい!」
「だが、ただのクラスメートが俺の周りをうろつくのはおかしくないか?」
「た、確かに……」
せっかく宙斗くんが乗ってきてくれたのに、なにかいい案はないかな。私たちが一緒にいても、おかしくない理由。
「仕方ない……偽装カップルしかないな」
――え。今、なんておっしゃいました? 偽装カップル……恋人同士になるってこと!?
いうか、女嫌いの彼がそれを提案してくるとは微塵も思っていなかったので驚いた。
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