①クール王子の彼女(仮)になります。

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「このリボンが、これから私たちを繋ぐ手の代わりです」  これなら間接的に手を繋げるから、我ながら、いい案だと思う。なんて便利なんだ、【Hiro】のリボンは。 「お前、それ……」  リボンを凝視している宙斗くんに、私はニッと笑ってみせた。 「私のお気に入りのリボンなの」  そう言った瞬間、彼の目がみるみる見開かれる。  宙斗くんは知らないんだろうな。これが、私に恋のきっかけをくれた宝物だってこと。 「初めの一歩、まずはリボンで握手しよう?」  私はリボンの端を持って、宙斗くんに手を突き出す。 「おい! 勝手に近づくなよ」 「これくらい頑張ってよ! 練習だと思って!」  持ったリボンを揺らせば、彼は「ぐっ」と呻き声を上げて恐る恐るリボンの端を掴む。 「これからよろしくね、宙斗くん」 「……早見、俺はよろしくはしたくないんだが……」  早見って……。私の名前、憶えていてくれたんだ。ずっと同じクラスだったのに、一度も呼ばれたことがない名前。好きな人に知っていてもらえることって、こんなにもうれしいんだな。でも、ここはニセとはいえ恋人同士なんだから……。 「飛鳥、私のことはそう呼んで?」 「なんでだよ」  げんなりとした顔で、宙斗くんは不満そうに言う。     
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