②きみの心に近づきたくて

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 私はスルリとリボンを解いて、彼に差し出す。その意図がわかったのか、渋々握ってくれた。 「は? なにやっての、飛鳥」  楓はポカンとした顔で、私たちの手元を凝視する。そりゃそうだよね、いきなりリボン握り合ってるんだから。  さあ、理由を考えろ飛鳥! 私の頭の回転に偽装カップルの未来がかかってるんだから。 「えっとね、人前で手を繋ぐのが恥ずかしいから、こうしてリボン越しに手を繋ごうって話になったの」  うわー、我ながらなんて無理やりな嘘。こんなの信じる人はいないと思うけど、とりあえずなにか言わなきゃいけない状況だったわけで――って、もういいから逃げよう! 「宙斗くん、行こう!」 「え……」  宙斗くんの顔に、何度目かわからない【不快】の二文字が浮かぶ。  きみが助けてほしそうにしたんじゃないか! いや、そんなことはこの際どうでもいい。 「楓、ホームルームまでに私たちが戻ってこなかったら、うまーく東堂先生のことごまかしといて!」 「え、おい!」  楓の制止も聞かずに、私はリボンを引っ張って廊下を走る。振り返らなくてもリボンが引っ張られる感覚があるから、宙斗くんがついて来てくれていることがわかった。     
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