②きみの心に近づきたくて

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 私たちがそのまま保健室に駆け込むと、中に先生はいなかった。もしかしたら、会議に行ってるのかもしれない。 「ねぇ、宙斗くん、だいじょ……え?」  うしろを振り返れば、宙斗くんはダラダラと汗をかいている。  あれ、今って真夏でしたっけ?  そんなボケをかましたくなるほど、滝のような汗をかいてる。 「えっ、ちょっと本当にだいじょ……」 「もう無理だ、死ぬ」  限界だとばかりにリボンから手を放して、ズササーッと壁際まで離れていく宙斗くん。 私の手からは、ダラリと力なくリボンが垂れている。 「えー……それはないよ、宙斗くん……」  なにも、そんなに逃げなくても。  ショックを受けながら、私は壁にぴったりと張り付く残念王子を唖然と見つめる。 「無理言うな。体が拒否してんだよ、仕方ないだろ」 「宙斗くって、今までよく学校で生活できてたね」  あ、そっか。女子はみんな、じゃがいもだと思ってるんだっけ。 「これがあと二年も続くと思うと……死にたくなる」 「早まらないで!」  あまりにも思いつめた顔をするので、思わず引き止めるように叫んでしまった。ここまでくると、女嫌いというより恐怖症だ。 「この世界からあらゆる女子が消滅すればいいのに」 「ちょっと! 今、全国の女子を敵に回したからね!」     
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