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そして、私も女子なんですけど。当人を目の前にして消滅しろとか……ひどい。
「もう、とりあえず近づかないから、壁から離れなよ」
私は近くのベットに腰かけて、向かいの壁に背中をピッタリくっつけている彼に呆れながらも声をかける。
「いや、遠慮しておく」
そう言って、宙斗くんはその場で胡坐をかいた。たぶん、今の物理的な距離が心の距離なんだろうな。
もっと君のことを知りたい。そう思う私だけが、きみを追いかけてる。でも、きみはそのぶん私から遠ざかる。あぁ……胸が痛いな。
「ねぇ、いつから女の子が苦手になったの?」
相変わらず、目をそらしている宙斗くんに尋ねる。
宙斗くんとは今日も目が合わない。それもまた、寂しい。
だから、その代わりといったらなんだけど、たくさん話がしたい。そしていつか、きみの心にも私が入れたらいいのにな。
切ない気持ちに押し潰されそうになる自分を励ましながら、彼からの返答を待った。
「苦手じゃない、嫌いなんだ」
「はいはい」
どっちも同じだと思うけど、自分が恐がってることを認めたくないんだろうな。あくまで自分の方から、嫌ってるってことにしたいのだ。変なところ、プライドが高いんだから。
「バカにしてるだろ」
「してないよ! というか、本気で不思議なの」
「不思議?」
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