②きみの心に近づきたくて

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「しいていうなら、噛めば噛むほど味が変わる、チューイングガムって感じかなぁ」  我ながら、センスのある例えだったと思う。すると、宙斗くんは口を開けたまま唖然としていた。 「え、私……変なこと言った?」 「予想の斜め上の回答だった」  驚きを隠せない様子で、彼は私を見つめていることにも気づいていないのか、今は普通に目を合わせながら会話できている。 「ええっ、むしろなんて言われると思ってたの!?」 「クール王子とか、大人っぽいとか、余裕があるとか」  それ、ぜんぶ自画自賛になってるけどね。なのに、イケメンが言うと嫌みに聞こえないとか……ずるい。 「中学のとき、告ってきた女に言われたんだよ」 「え?」  ポツリと話し出したのは、たぶん彼が女嫌いになった原因。ついに話してくれるのかな? と私は期待を込めて宙斗くんの話を邪魔しないように黙る。 「宙斗くんはカッコいいし、人気者だから好きだって。それって、本当に俺のことが好きっていえるか?」  自嘲的に笑って話す宙斗くんに、胸がチクリと痛む。     
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