②きみの心に近づきたくて

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 そっか、外見で好意を寄せられてもうれしくはないよね。もしかして、自分の中身を好きになってくれる人なんていないと思ってるのかな。そうだったら……私は違うのに。私はきみのさりげない優しさに、心惹かれた。みんながみんな、上っ面だけに恋をするわけじゃないと思う。 「それで振ったら、あることないこと噂を流される。本当の俺を知らないくせに知ったふうに話されるのも、ぜんぶが不快だ」  だからひとりにしてくれって、そんな彼の心の声が聞こえてくる。でも、ひとりが好きな人なんて本当にいるのかな。自分は周りのふざけた奴等とは違う、望んでひとりになってるんだ。そう何度も自分に言い聞かせても、本当は心の中で思ってるはず。楽しい、うれしいを共有出来る仲間っていいなって。 「宙斗くんは……今ちょっと傷が癒えてないだけなんだよ」 「なんだよ、それ」 「人を信じることが、怖くなってるだけ」  こんなこと言ったら、怒るかもしれない。案の定、宙斗くんは眉間にシワを寄せる。 「違――」 「違わない。絶対ひとりよりふたりの方が楽しい。だから私、宙斗くんに一緒にいて楽しいって思ってもらえるように頑張る」  うん、私が宙斗くんに誰かといることの楽しさを教えてあげるんだ。  拳をグッと握って気合を入れていると、〝余計なことすんなよ〟と言いたげな顔で宙斗くんが私を見てくる。 「とりあえず、そろそろ一限目の授業始まるから教室に戻ろう」 「戻りたくねーな、また質問攻めにあうだろ」     
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