②きみの心に近づきたくて

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 一瞬にして、イケメンが台無しになるほどげっそりした顔になる。  仕方ないなぁ。なんて思いながら、宙斗くんが可愛く見えてしまった。 「でも、いつまでも逃げてらんないし……腹くくろうよ!」 「お前、俺より男気あるよな」 「それ、うれしくないから!」  そう言って彼に近づこうとすると、また「ひっ」と小さく悲鳴を上げられた。私はピタリとその場で立ち止まり、慌ててリボンを差し出す。 「ごめんね、私はここから動かないから宙斗くんから来て」 「お、おう……」  宙斗くんはビクビクしながら私のそばまでやってくると、リボンを掴む。  私から仲良くしようと無理に迫っても、駄目なんだ。たぶん、宙斗くんから歩み寄りたいって思ってもらわないと。  私は即行動タイプだから、あれこれ考えず動いてしまう。でもそれで、好きな人を怖がらせたくない。だから、きみが私に慣れてくれるまで……。 「じゃあ行こうか、宙斗くん」 「……ああ」  時間をかけて、できることをしよう。なにも言わずにうしろをついてくる宙斗くんに、私は密かにそんな決心を固めていた。  私たちが教室に戻ってすぐ、一限目の授業が始まった。そのおかげで、いきなり付き合ってることを問い詰められたりはされなかったんだけど……。     
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