②きみの心に近づきたくて

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 ペコペコと頭を下げて謝ると、ワッとクラスに笑いがわく。先生は本気で怒っているわけではなく、苦笑いしながら口を開く。 「仕方ないな、今回は許す!」 「ありがたき幸せ!」  またクラスに笑いが巻き起こる中、ふと視線を感じた。顔を上げたら、宙斗くんとバッチリと目が合う。  あれ、なんか言ってる?  動く彼の唇に目を凝らすと、口パクで「バカ」とふた言。 「バカ!?」  つい声に出してしまう私に、宙斗くんは口元をおさえて小刻みに肩を震わせる。  あっ、宙斗くんが笑ってる!   彼の笑顔を見るのは、初めてだった。きみの仏頂面か怯えた顔以外の表情が見られるなら、恥をかいたかいがあるなぁ、なんて思ってしまった。 「はーやーみー」 「あ……ほんっとーに、すみませんでした!」  また私、叫んじゃったんだ。  恥ずかしくなって、すぐさま着席する。両手で火照る頬をパタパタと扇いでいると、美代がまたもやこちらを振り返った。 「わかりやすいわね、飛鳥は」 「やだなぁ美代、なっ、なんのことかなぁ?」  美代の見透かすような視線から、私は目を逸らして笑う。  絶対、美代にはバレてる。こんな調子で大丈夫なのか、先行きはもちろん不安だけど宙斗くんの笑顔が見れたし、悪いことばかりじゃないよね。  ――というわけで、これは証拠隠滅しないと。     
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