③クール王子の秘密

1/12
前へ
/180ページ
次へ

③クール王子の秘密

 放課後、私はバイトと部活が休みだという楓と美代と一緒に、駅前のショッピング通りを歩いていた。 「飛鳥、彼氏と帰らなくてよかったの?」 「う、うん。宙斗くん、なんか用事があるみたいで……」  美代の鋭い指摘に、私はたじろぎながら答える。  宙斗くん、放課後になった勢いよく教室を出てちゃったんだよね。それは風のごとく素早くて、忍者の末裔なんじゃないかと思った。  怪しまれるから一緒に帰ろうって誘うつもりだったのに……っていうのは建前で、本当は私が宙斗くんと一緒にいたかっただけなんだ。 「ふーん、俺なら彼女と四六時中一緒にいたいけどね」 「楓の場合は、一緒にいるだけじゃすまないんでしょう?」 「わかってんじゃん、美代」  楓と美代がなにやら不気味に笑い合っているのを見た私は、あからさまに顔をしかめた。  ああ、私の親友はふたりとも節操がない。 「ふたりとも、いつか刺されるよ」  呆れながら、前を歩くふたりに声をかける。 「俺はみんな平等に愛してるから、大丈夫っしょ」 「憎いほど私が好きなんて、ある意味萌えるかも」  うん、ふたりが理解できない。いまさらだけど、私の親友ってちょっと危ない人だよね。     
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加