③クール王子の秘密

2/12
前へ
/180ページ
次へ
「でも、最近は女遊びしてないわよね、楓」  美代の言う通りだ。高校入って一ヶ月くらいだったかな。すでに楓はプレイボーイとして名を馳せていた。放課後は女の子たちとカラオケに行ったりして遊んでいたのに、一年生の後期あたりからはパッタリとなくなった気がする。最近は放課後に一緒に遊んでくれるし、付き合いがいい。 「うーん、でも再開するかも」  楓は若干、声に不機嫌さを滲ませる。 「え、なんで?」 「憂さ晴らし」  聞き返すと、楓に恨みがましく睨まれた。  え、なんでそんな目で睨まれないといけないの? 私、なにか怒らせるようなこと言ったっけ。  思考を巡らせてみても思い当たる節はなく、私はポカンと楓の顔を見つめる。 「鈍感ね、飛鳥は」 「うん?」 「まあ、それが飛鳥の可愛いところよ」  もう、楓は勝手にふてくされるし、美代も教えてくれないし。本当、ふたりともなんの話をしてるの?  首を傾げながら、ふと視線をショーウインドウへと向ける。 「え……」  私が見たのは、女の子向けのファンシーな雑貨店。ウサギの人形やら、お花の髪飾りやらが売っているお店で、私も何度か入ったことがある。 「いやいや、見間違えだよ」  私は頭を振って、何度もそう自分に言い聞かせた。     
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加