①クール王子の彼女(仮)になります。

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今から一年前、高校一年生の四月。入学式からちょうど三週間経った頃、新しい学校生活に誰とグループを作るかで教室のみんなの心はソワソワしていたに違いない。私も不安はあったけれど、追い詰められるほどペラペラ喋ってしまう性格で、周りの人からは明るいと思われる節がある。だから高校でも、すぐにクラスメートと打ち解けることができた。 「飛鳥のそのリボン、すっごく可愛いね!」  朝のホームルームが終わり、一限目開始までの休憩時間のこと。私は勢いよく、声をかけてきた女子生徒を振り返る。 「ありがとう! すっごくお気に入りなの!」  私はゆるく巻かれたアッシュブラウンの髪を、お気に入りの赤いリボンでポニーテールにしている。繊細で可愛いハートの刺繍が入ったリボンだ。  ちなみに、この髪留めはハンドメイド作家【Hiro】のリボン。 「これ、私の好きなハンドメイド作家さんが作ったやつなの!」 「なにそれー?」 「アクセサリーとか、手作りでネットで売ってるんだよ」  席に座っている私の周りには、女子が五、六人ほど集まっている。みんなは私の頭を見て興味津々な顔をしていたので、自信満々に説明してあげた。  私はこの作家さんの作るアクセサリーが大好きだ。ペンダントであればチェーンにまで花の形を取り入れたり、細かいところにも抜け目ない、小さなアクセントがある。  どんな女性が作ってるんだろう、そんなことを考えているときだった。 「あっ!」  スルリとリボンを引っ張られて、髪がほどける。  ――え、あれ!?     
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