③クール王子の秘密

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「……好きなんだよ、こういうの」 「へぇ~」 「驚かないのか?」 「ええぇぇぇっ!」 「時差あんのかよ!」  顔を真っ赤にして怒る彼に、私は開いた口が塞がらない。宙斗くんはアレか、いわゆる乙男というやつなのか? ともかく、またひとつ彼の秘密を知ってしまった。 「まさか、宙斗くんがこのウサギちゃんに惹かれてるとは」 「悪いかよ」  ふてくされたのか、宙斗くんはうさぎとクマを棚に戻すと、私に背を向けて店を出て行こうとする。 「あ、待ってよー!」  私もすぐに追いかけようとして、足を止める。  宙斗くん、このキーホルダー買おうとしてたんじゃないかな。だけど、私が茶々を入れたりしたから……。  私は申し訳なくなって悩んだあげく、ウサギとクマのキーホルダーを献上品にして謝ることを決めた。レジに並んでふたつのキーホルダーを購入し、私は慌てて彼のうしろを追いかける。 「宙斗くーん!」  会いたい人の背中を人ごみの中に見つけて、私は声をかける。お店を出たら彼の姿がどこにもなかったので、いちかばちかで駅のほうへ歩いてきたのだけれど、正解だったみたいだ。 「やっと追いついた!」  声をかけても一度も振り返ってはくれなかったので、私は無理やり彼の隣に並ぶ。     
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