③クール王子の秘密

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「なんで追いかけてくるんだよ」  眉間に深い皺を刻む彼に、私は怯むことなくケロッとして答えた。 「会って話したいことがあったから」 「話したいこと?」 「ここじゃなんだから、公園に行こう!」  私がリボンをほどいて差し出すと、宙斗くんは自然とそれを握った。  あ……そういえば、ここに同じ学校の人の目はないんだし、わざわざリボン越しに手を繋ぐこともなかったな。でもなぜか、私たちはそれが当たり前みたいに行動していた。  いつか、この行為が癖になればいいな。それだけ、きみが私を怖がらずにいてくれるんだって安心できるから。  リボンを見つめながら、そんなことを考えていると――。 「おい、なに笑ってんだよ」 「え、私……笑ってた?」 「ガッツリな」  そっか、私……笑ってたんだ。きみとの距離が少しは近づいたかもって思ったら、うれしくて仕方なかったんだよ。そう言ったら、きみは私から逃げ出しちゃうかな。 「おい、行かないのか?」 「あ、うんっ、行く! 行かせていただきます!」  掴んだ紐が突っ張る感覚。それに小さな幸せを感じながら、私は宙斗くんと駅前にある噴水広場へと向かった。     
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