③クール王子の秘密

9/12
前へ
/180ページ
次へ
 ニッと強気に笑ってピースをすれば、宙斗くんは私を見つめたまま思案顔になった。 「……中学のときに振った女に、あることないこと噂を流されたって話したよな。俺、それが原因で学校で孤立したんだよ」 「え……」  ぽつりと話し始めた宙斗くんに、私は一瞬驚く。  でも、きみがせっかく話してくれたんだ。この機会を無駄にしないためにも、私は口を引き結んで話に集中することにする。 「そんな日々に嫌気がさしてて、放課後に気晴らしでお店を見て歩いてた。そのとき、ショーウインドーに可愛いくてキレイなアクセサリーを見かけてさ」  好きなもののことを話しているせいか、宙斗くんは見たことのないくらい優しい表情をしていた。  そんな顔をしている宙斗くんが見れて、うれしい。できればもっと、笑っていてくれたらいいのに。 「心が癒された気がした。物ひとつで誰かを元気づけられるって、すげぇなって思った」  まさか宙斗くんの可愛いもの好きに、そんな感動的なエピソードがあったなんて……。  それを私に話してくれて、ありがとう。きみのことを知れて、私はもっともっときみのことが好きになった。 「それがきっかけでハンドメイド作家になって、俺も誰かを元気にできるようなアクセサリーを作ろうと思ったんだ」     
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加