③クール王子の秘密

10/12
前へ
/180ページ
次へ
「そうだったんだ、ハンドメイド作家に……」  そこまで聞いて、私はあるワードに引っかかる。今、宙斗くんは「ハンドメイド作家になった」って言ってなかっただろうか。 「……うん? どういうこと?」  私は困惑しながら、宙斗くんの顔を凝視する。そんな私の混乱に気づかない彼は、淡々と自分のことを話していた。 「だから、こういう雑貨巡りは職業病みたいなもんだ」 「ちょっと待って、後半が頭に入ってこなかった!」  ハンドメイド作家って、宙斗くんが!? 待って、宙斗の宙って……ハンドメイド作家【Hiro】ってことにならない? 「あ、あああああ、あのっ」  震える声で、私はリボンを持つ手を上げる。 「なんだよ」 「差し支えなければ、あなたはハンドメイド作家の【Hiro】様ではないでしょうか?」  怪訝そうな顔で身構えた宙斗くんに、私はリボンの刻まれたロゴを指さしながら恐る恐る尋ねた。 「そうだよ、お前のそのリボンも俺が作った」 「ぎゃーっ」 「心臓に悪いから、奇声を上げるな!」  そっか、そっか……! だからあのとき、私のリボンを探して来てくれたとき、『大事にしてくれて、ありがとな』って言ったんだ。宙斗くんが、作った本人だから。 「私、【Hiro】の大ファンなの!」     
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加