③クール王子の秘密

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「ファンって、俺はアイドルじゃないんだぞ」 「このリボンはその中でも、大のお気に入りなんだ!」 「人の話を聞け……」  まさか、初恋の人が大好きなハンドメイド作家さんだったなんて……。なんたる幸運、なんたる強運の持ち主なんだ、私は。 「私ね、このリボンをどこかお守りみたいに思ってたの。これがあると、毎日笑顔でいられる気がするんだ」  私はリボンを両手で包み込むと、我慢できずにふふふっと笑った。 「でも納得。誰かを元気にしたいって思う宙斗くんが作ったものだから、みんなが身に着けたいって思うんだね」 「お前……」  目を見張っていた宙斗くんの顔が、ゆっくりと柔和になっていく。 「ありがとな、最高の褒め言葉だったわ」 「――あっ」  息が、止まるかと思った。彼が笑って、私にお礼なんて言ったからだ。  また知らないきみの顔。好きな人に笑いかけられるって、こんなに心が満たされていくものなんだ。  ああ、私――きみが好きだ。  それを再確認した瞬間、顔が熱くなった。そのまま火を噴きそうだったので、私は先にベンチから立ち上がる。 「今日ね、宙斗くんのせいでアイス食べ損ねたんだ」 「……は? アイス?」     
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