41人が本棚に入れています
本棚に追加
女子たちは顔を見合せて図々しくも私と宙斗くんのデートに参入しようとしているみたいだ。それからあれこれ会議をして結論が出たのか、いっせいに私の方を見る。
──怖っ!
集まる視線はまさに、獲物を狙うハイエナのよう。
「日曜日、ふたりがデートしてるところを見せてくれたら信じるよ」
「私たちが偵察にいくから!」
この人たち、平然と言ってるけど物凄い要求だなぁ……。
私は唖然としながら、彼女たちを見つめる。
宙斗くんがデートをしてくれる可能性は限りなく低いけれど、私に拒否権はないのでここは素直に従うしかないだろう。
「でも、宙斗くんにも日曜日の予定を聞かなきゃいけないから……」
「じゃあ、放課後までに返事ちょうだいね」
言いかけた言葉は、私を囲む女子のひとりに遮られる。
なんて強引なんだ……。彼女が出来ようと潰えない宙斗くんの人気。さすがはクール王子、偽装彼女としてはかなり迷惑だ。
女子たちはそれだけ言うと、蜘蛛の子を散らすように自分の席に戻っていく。
「つ、疲れた……」
くたりと私は机に突っ伏すと、追い打ちをかけるように美代と楓が「まぁ、怪しいわよね」「怪しいよな」と声をそろえて言う。
私からは女の子が壁になっていて姿が見えなかったけれど、美代と楓は一部始終を自分の席から見ていたらしい。私は少しだけ体を起こして、ジトリとふたりを睨む。
最初のコメントを投稿しよう!