①クール王子の彼女(仮)になります。

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 おどけてみせると男子は肩の力を抜き、張り詰めた教室の空気もふわっと和らぐ。  これで、よかったんだ……。あとで、こっそり取りに行こう。  そう思っていると、廊下側の一番前の席。そこに座るのは学校でもイケメンが入学してきたと話題になっている高杉宙斗くん。  高杉くんは急に立ちあがり、そのままスタスタと教室を出て行ってしまう。  予鈴も鳴ったのに、どこに行くんだろう?  彼はそのあと、「腹痛でトイレに行ってました」と言って、授業途中に帰ってきた。  おかしいな。教室を出ていくときは、お腹が痛そうな素振りもなかったし、わりとしっかり歩いてたと思うけど。あ、サボりかな?  私はイケメンを鑑賞するのはもちろん好きだけど、彼のような完璧な人を好きになれるほど自分には自信がない。なので、彼の行動をいちいち気に留めるようなことはしなかった。 「はぁ、リボンどこいちゃったんだろう」  昼休みになってすぐ一階の植木に落ちただろうリボンを探しに行ったのだが、見つからなかった。放課後になっても諦めきれず、部活のある美代とバイトのある楓は巻き込めないのでひとりで探してきたのだけれど結果は同じ、リボンはどこにもなかった。 「お気に入りだったのにな……」     
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