3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
3話 蝶のように
【夜露蝶羽&大原紫穏】
小さい頃から気がつけば、母は私の隣にいなかった。
私が小学生になる頃、母は離婚した。
そして、私が小学三年生の時に再婚した。
相手の男性にも連れ子がいた。
5歳年下の女の子。
義妹ができるとワクワクしていたあの時の私は、今思えばお気楽だったと思う。
義妹がやってきてから、私の生活が狂い始めた。
私の周りは、義妹を中心にまわるようになった。
母は私に見向きもせず、ただ、義妹を可愛がった。
義父もだ。
私は空気のように扱われ、この8年間過ごして来た。
体育祭も、合唱祭も、文化祭も。
一人で用意されていた弁当を食べた。
義妹の体育祭や、授業参観は夫婦揃っていくのに。
どうして?
そう思っていたのは小学生の時までだった。
中学生になってからは諦めた。
母はもういらない
そう思っていた。
高校生になってからは誘われていた夜の仕事を始めた。
母の派手な容姿が私にも遺伝していて、高校生ながら、身長も高く、スタイルも良かった。
夜の仕事は稼げる。
早くあの家から出たかった。
“義妹”という名の牢獄から抜け出したかった。
自由になりたい。
蝶のように。
最初のコメントを投稿しよう!