1話 買い出し

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1話 買い出し

【花宮瑛梨奈&北原奏人】 今日は学級委員長の北原くんと文化祭の買い出しに来ている。 「とりあえず順番に見ていこうか」 「そうだね」 ひと通り買い終わって帰ろうとした時。 「ちょっと待っててくれる?」 そう言ってお店の中へ戻っていく北原くん。 しばらくして戻って来た。手にはビニール袋がさがっている。 「それ、どうしたの?」 「後輩への差し入れ。バレー部明日、試合だからさ」 そう言って笑う。 こんな一面もあったんだ…… 「よし、帰るか」 自転車にまたがり、漕ぎ出す。 さすがバレー部。スピードが違う。 あっという間に見えなくなってしまった。 だいぶ遅れて学校についた私は、自転車を停めて、教室へ向かう。 誰もいない教室に私のかばんだけが夕日に照らされていた。 かばんを手に取り、教室を出ようとしたとき、机の上に何かが置いてあるのが見えた。 「何だろ」 近づいてみると、お菓子の袋だった。 『今日は買い出しに付き合ってくれてありがとう。お疲れ様! 北原』 という、メッセージを添えて。 「これ……」 北原くんの気遣いに感謝しながらお菓子を頬張る。 それは、北原くんの笑顔のような爽やかな味がした。
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