嘘と嫉妬

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相坂君から常時報告を受けていた私は駿ヶ崎さんの前では何も知らないふりをした。 普通に彼氏の話をして、相坂君の話をして。 それでも、相坂君と駿ヶ崎さんの雰囲気は明らかに違っていた。 それは私が知っているからなのかもしれないけれど、あの告白があってからも2人は一緒に出勤したり、逆に全く喋らない日があったり。 その間にも相坂君は時々私に 「僕は遊びなんですよね。でも、僕は駿ヶ崎さんが好きだから、離れることも出来ない」 なんて弱音を吐く時もあった。 その度に私は「このまま付き合っていてもお互いのためにはならないと思う」と言い続ける。 しかしその後も二人の関係は続いた。 駿ヶ崎さんに至っては、「告白されたけど何もない」という姿勢を崩さない。 しまいには「相坂君は私の事をなかなか諦めてくれない」というニュアンスの話し方をしてくるようになった。 互いの矛盾する話に毎度振り回されながらも、それでも私は心のどこかで二人の関係はそんなに深いものではないはずだと信じていた。 きっとこれは一時的なもの。 だから、駿ヶ崎さんに対しては軽口を叩いて流すことができた。
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