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いつからか、駿ヶ崎さんは相坂君の話をよくするようになった。
「七瀬さん、聞いて下さい。昨日相坂君からLINEきてて……ちょっと見てもらえますか」
駿ヶ崎さんそう言われて足早に厨房へと向かう。
「これなんですけど……」
そう言って私に見せてきた画面に表示されていたのは相坂君からの一方的なメッセージだった。
[ねぇなんで僕ばっかり]
[ねぇどうして僕ばっかりこんなに傷付くの?]
[寂しいよ]
[今日も彼氏といるの?]
[やだよ]
[ねぇ僕ばっかり苦しい]
[なんで]
[なんで]
そこに並んだ文字列は相坂君の苦しみと嫉妬に溢れていた。
「え?これ……まるで付き合ってるみたいですね。付き合ってるんですか?」
「付き合ってないです」
身体の関係はあっても付き合ってはいないという事か。
まぁそう考えれば嘘ではないのかもしれない。
「それにしても……こんな事言うのってやばくないですか?依存してますよね。なんとかした方がいいんじゃないですか?」
どう見ても様子がおかしい。
女々しいといえばそれまでなのかもしれないけれど、私はなんとなく嫌な予感がした。
このまま放っておいたら、まずい気がする。
そう思って言ってはみたが、駿ヶ崎さんには伝わっていなかったように見えた。
しかしここから、相坂君の駿ヶ崎さんへの想いは一気に激しさを増していく事となる。
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