第一章 事の始まり

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「七瀬さん、僕、駿ヶ崎店長に告白しちゃいました」 「聞いたよ。もう、何してんだか……。でもまぁ、言っちゃったもんは仕方ないわな」 次の日、相坂君は私にそう報告してきた。 相坂君は人懐こく年上から可愛がられやすい典型的な犬系男子。 以前イタリアンのお店で働いていた事もあり、ワインや料理にも詳しくロマンチストな性格。 仕事もすんなり覚えてくれて私は彼ともすぐに仲良くなった。 相坂君は人に何かをしてあげるのが好きらしく、私はいつも閉店シフトの時は相坂君に家まで送って貰うのが日課になっていた。 しかしそこに恋愛感情などは一切ない。 私には彼氏が居たし、なんだったら相坂君の恋の悩みを聞いていたのは他でもない私。 だからこそ、相坂君が駿ヶ崎さんに告白したと聞いた時は簡単に受け入れる事は出来なかった。 私は人数の少ない職場での色恋沙汰にいい印象を持っていなかったから。 「で?なんて言われたの?」 「彼氏居るの、知ってるよねって言われました」 完全に一致。 そう。その通りだ。 彼氏が居るのに告白なんてしてはいけなかった。 でも彼はそんな事を気にしていられない程に、駿ヶ崎さんへの想いに溢れてしまったのだろう。 そう思ったら、もう私としては「そっか」と返すしかなかった。 しかしその帰り道。 私は驚愕の事実を知ることとなる。
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