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マラカスは帝国の西にそびえる山の麓の街。
帝国の首都と、親交のある海の大国を結ぶ延長線上にあり、物流の要となる街だ。
周囲を城壁に囲まれた、この辺りでは最も大きな街だった。
城壁のすぐ外には街の人間を養うための畑や田があったが、そこを過ぎると街道沿いにはしばらく何もない。マラカスから一つ先の街までは歩いて10日はかかる。その間には小さな集落や村が点在するのみで、街道から一歩森の中へ足を踏み入れると、慣れた狩人でも道に迷う深い森が広がっていた。
街の中央通りでは、遠くの街からやってきた行商人達がそれぞれ自慢の品を競って売っている。
道路の上に敷いた茣蓙や木箱の上に、食料品や旅の必需品を並べ、通りかかる街人や旅人を誘っていた。色とりどりの衣類を売る店もあれば、街の周囲の森や湖でとれた豊富な食料を扱っている店もある。
周囲に大きな街が無いため、旅人にとってはここが食料補給の要であったし、旅で疲れた体と心を癒す休憩所でもあった。
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