1.剣と黒髪

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「ふーん。こんなところに。」 部屋の片隅の木箱の上に剣を置き、腰回りの革ベルトを外しながら男は嬉しそうに笑った。 「時間はこのろうそくが消えるまでとさせてもらいます。旦那、立派な体をお持ちですが、見てのとおりコイツは華奢なもんで、壊したりしないようにお願いしますよ。」  養父の媚びた声に吐き気がする。 気遣うような発言が、心にもないことをシエルはわかっていた。
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