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「お兄ちゃん?はぐれたん?迷子?」
「違うよ?お兄ちゃんはうちが小さい頃に軍に連れていかれたって聞いたんよ」
少女は慌てた様子もなく落ち着いた口調で答える。
軍に?連れていかれた?ナカコクで兵を集めるためにといって連れていくなんて聞いたことがない。
それにこの子は見た目12・3才。その兄であるから恐らく現在15・6才が良いところではないだろうか?そんなに若い子は軍では滅多に見かけない。
こんな事をマリネが考えていると、
「ねぇ、お姉さんは見てない?砂瀬戸お兄ちゃん」
「え…?」
今、聞き間違えではないだろうか…?耳によく馴染む名前を聞いた気がした。
それで思い出した。この子がよく似ていると思っていた人物…黒い髪、意思の強さを感じる黄金色の瞳…それは、マリネの慕う相手…
「サセト…中佐…?」
「!?お兄ちゃん知ってるの!?」
思わずポツリと呟いた名前に少女は目を輝かせ詰め寄る。
「え、あ、ちょっ…ちょっと待って…名前が同じだけかもしれんし…」
そう、サセトと少女だと兄妹というにはあまりに年の差が離れすぎているのだ。
だが、あまりにそっくりなのだ。
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