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「あのね、父さんも母さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんは戦争に行って死んだんだって言うの。でもね、うちは…お兄ちゃんは生きてるって信じてるの!」
マリネの服の裾をつかみ、少女は必死に訴える。
「え、ちょ、ちょっと落ち着こう?ね?
そのお兄さんの特徴とかはわかる?」
「え、えっとうちが小さい頃だったからあんまり覚えてないんやけど、うちと同じ黒い髪に黄色い瞳だよ。よく、皆からはお兄ちゃんの小さい頃に似とるって言われたとったんよ」
特徴を聞くにますますサセトの事ではないかと思う。
しかし、サセトから兄弟の話を聞いたことがない。
ここにいてもラチがあかないから取り敢えずまずは支部に戻り、詳細を聞こうとしたとき、
「あぁ、ここに居ましたかマリネ少佐」
「あ、タツカさん」
不意に声を掛けられた。
それはこのヲノミチ支部の責任者である、獣人(太刀魚)のタツカだ。
「そろそろ時間じゃないですか?皆が待ってましたよ」
「え!?もうそんな時間ですか!?」
「ええ。……それはそうとその子は?」
タツカに指摘され時計を確認すると確かに時間間際であった。
大変だと慌てるマリネにタツカがマリネの後ろを指さし尋ねる。
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