1人が本棚に入れています
本棚に追加
いつの間にかマリネの後ろに隠れるようにしてタツカの様子を伺っている少女にタツカは指摘する。
「あ、えっと…どうやらお兄さんを探しているみたいなんです。この子」
「おや…その子は…」
「知り合いですか?」
「……いえ、人違いだったみたいですね」
糸目をうっすら開けタツカが少女を見る。
小さく、ボソリとなぜこの子がここに?と呟いたのは誰にも聞こえなかった…が、
「お兄さん、うちに嘘は通用せんよ?」
ひょっこり顔を出していた少女がタツカを凝視し言う。
「…おや、これは困りましたね…」
「お兄さん、うちと会ったことあるん?
うちは知らんのんやけど…」
「そうですね…会ったことはないですが、よく話を聞いてましたよ。詩羽(シハ)さん」
「詩羽…ちゃん…?」
「うん、あ、自己紹介忘れとった!うちは詩羽です」
詩羽の目線に合わせるように屈んだタツカがにっこりと笑顔を向ける。
隠れることをやめ、マリネの後から出てきた少女、詩羽は自己紹介する。
と、その時、タツカの持つ通信機が通信をキャッチする。失礼、と断りを入れたタツカは無線をとる。
「はいヲノミチ支部責任のタツ…なんだミヅですか…え?行方不明の家出した子供…?…はい…はぁ…特徴と名前は?」
タツカは無線の相手と会話をしながらチラチラと詩羽を見る。
詩羽もその会話の行方不明、家出と言う単語を聞き、ギクリとし、またもマリネの後ろに隠れようとソロリソロリと動き始めた。
そんな詩羽にマリネはどうしたの?とキョトンとする。
「黒髪に黄金色の瞳……ふむ、…名前は…詩羽」
「え!?」
通信先からの情報を敢えて声に出し、チラチラと詩羽を見ながら言う。
特徴と名前を聞いたマリネは驚き詩羽を見る。
二人に見られた詩羽はギクリとなりゆっくり目をそらす。
最初のコメントを投稿しよう!