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「アルディル君。ちょっといい?」
「うん、いいよ」
放課後になり、帰ろうと身支度を整えていたところで、かけられた声はサリュだった。
今まで避けられていたのが突然いつも通りのような声になったので少々驚きながらも、僕も平静を装って返事をする。
「じゃあ、先帰っとくな!」
「うん」
フレイに返事をし、荷物を無属性の収納ボックスへと納め、歩き出すサリュについていく。
そしてたどり着いた先は、あの日零帝として話した校舎裏だった。
防音の結界を張り、サリュは僕と向き合う。
その瞳はひどく、真剣で。
真っ直ぐと真摯な目は、次の瞬間下に下がった。
「すみませんでした!」
開口一番サリュはそう言い、頭を下げる。
「……へ?」
サリュが何を謝っているのかわからなくて、つい素っ頓狂な声が口から洩れた。
「今まで、すみませんでした!」
再度謝るサリュに慌てて頭を上げるように言う。
「待って、何に謝ってるかわからないし、頭上げなよ!」
「いいえ、俺、俺たちは今まで、貴方様の何を見てきたのだろうと……ルピナス隊を代表して、謝らせてください!今まで本当に、すみませんでした!」
僕が言っても聞かないサリュは、それでも頭を下げ続けていた。
しかもその理由は、サリュだけではなく、ルピナス隊全体として謝っているらしい。
……ますます、何に謝っているのかわからない。
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