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僕の無表情は、元々だ。
『どんな時でも、強くありなさい。心を強く保ち常に揺らさないことで、真の力は手に入るのだから』
それにきっと、根底にあるのはこの考え方。
はるか昔、言われ続けた言葉。
幼すぎて記憶に残らないはずなのに、未だに覚えているほどに聞かせられた言葉。
だからルピナス隊の皆が影響を与えているなんてこと、ましてやサリュに謝られることなんて、何一つとしてないのだ。
「頭を上げてください、サリュ。私の表情が乏しいのは元々であり、『寂しい』なんて感情を持ったことはありません。それに貴方が見たのはプライベートの私であり、仕事中とはまた違います。ましてや私たちの仕事は生死に関わるもの、そんな和気あいあいとしてられません」
「ですが……っ」
「この話はここで終わりです。仕事である零帝の私と、プライベートの私は違う。……なのでサリュ、ここからは貴方のクラスメイト、アルディルとして話します。
今まで、私は確かに感情を押し殺してきました。ですがこの学園に来て、フード越しに見てた景色を脱ぎとった状態で見て、普通の生活を知って。楽しかったのは否定しません、それがプライベートの私なのですから。
ですからサリュ……プライベートの私として言います。学校ではどうか、私と……仲良く、してくれますか?」
ルピナス隊で唯一、僕と同い年のサリュ。
年齢が上の人が多い中で、同い年の人がいることは奇跡に近い。
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