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だからサリュと、学校では仲良くいられたらと思い、そう口にした。
サリュは僕の顔を目を見開いて見て、オロオロし始めて……正直、見てる分には面白かった。
「こ、こんな俺が、貴方様と仲良くなんて……していいのですか?」
「っぷ、何ですか、その卑下しまくった思考は。学校での貴方はもっと堂々としていて、爽やかにモテる雰囲気を醸し出しているでしょう?」
「な、何ですか、そのモテる雰囲気というのは……俺はそんなもの、醸し出した記憶なんて……っ」
「無意識ですか。それは皆さん、さぞ可哀そうですね」
学校でのサリュと訓練中のサリュが違いすぎて、僕はひたすらビックリしたというのに。
「貴方と私はクラスメイト、なので仲良くしていておかしい事などありません」
「そ、そうですが……貴方様が零帝様だと思うと、緊張でいつもどもってしまいそうです……」
「確かに、今どもっていますね」
緊張のためか伏し目がちの瞳はやっぱり僕と合うことはなくて、困ったように地面に向いていた。
「その態度は、ただのクラスメイトに取る態度じゃないですよ。貴方はクラスでも早くから隊員になったということで注目を集めています。そんな貴方に畏まられると、私が何者なのかと噂されてすぐに正体がバレてしまいます」
「……そうですよね」
「はい。なのでサリュ、提案なのですが、もうお互い敬語は止めましょう。それに君なんて付けず、呼び捨てで構いません」
「……へ?」
「ん、もう一度言いますか?」
素っ頓狂な声を上げたサリュは、恐る恐るといった感じで僕を見た。
僕の言葉を咀嚼するように数秒固まった後、体の前で手をブンブンと左右に動かす。
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