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ギルドは学校と同じよういきなりの攻撃を防ぐため、転移妨害の結界が貼られてある。
僕は、わざわざギルドの前に転移するというのは面倒だったので、よく自分の自室に転移妨害の結界の穴を探って転移していたのだが、さすがにギルドマスター室に直接転移したことなどなかった。
それが、今日は転移していいと気のせいかいつもより早口になったマスターは許可を出した。
何か、緊急事態でも起こったのだろうか……。
とりあえず今は、急いでギルドマスター室に行った方がよさそうだ。
「すみません、今念話でマスターに呼び出されたんです。ちょっとそのまま転移するので、また明日、学校で」
「わかりました、また明日」
そう別れを告げて、僕はギルドマスター室に直接転移した。
「来ましたか」
「どうしたのですか、いきなり。何があったのです?」
「実は、その……」
歯切れ悪く、マスターは視線を逸らした。
こんなマスターは、珍しい。
いつもきっぱりと、僕がすべきことを簡潔に言ってくれるのに。
「今、その……帝が、全員集合し、いつもの会議室にいるのです」
「会議室に?」
「はい。零帝の休職について、直接零帝から話を聞きたいと……」
「それは、私が零帝としてまた、帝の前に立たなければならないということですか?」
「はい。帝を止められなくて、申し訳ないのですが……」
眉根を下げ、マスターは会議室がある方向を見つめた。
帝は月に一回の頻度で会議を行う。
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