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その会議室はギルドマスター室や僕の部屋がある五階の奥に設置され、早朝の数時間を使って自分の隊の事や近況、魔物の状況など、様々なことを報告しあい、話し合うのだ。
その部屋に今、会議でもないのに、帝全員が集合しているという……。
それほどまでに、僕の休職は受け入れられないことだったのか。
「零帝が見つかったことを報告し、休職の事を告げると、私だけが会ったということで羨ま……いえ、直接本人から話を聞きたいと言われまして……。それはできないと言っていたのですが、遂に今日、強硬手段に出てしまって。魔物が増加している今この状況で、帝が使い物にならないのは困るのです。このまま話を聞けないと、彼らは仕事をしない雰囲気だったので……」
眉尻を下げ、マスターは視線を逸らした。
それは、マスターとしても非常に困っただろう。
危険で大きな仕事のほとんどは、帝が請け負っている。
僕も働いていないし、そうなるとその仕事は隊員らに回されることになるのだ。
帝の仕事は何十人もの隊員が束になってやっと一人分を賄えるくらい。
なので帝が仕事をしないのは、ギルドマスターとしてもギルドが回せなくなるので、非常に困る状況なのだ。
「それで、休職状態の貴方に、それもいきなり頼むのも悪いと思ったのですが……帝に直接、話してくれませんか?」
「そういうことなら……わかりました」
きっとマスターは、僕に零帝としてまだ立ってほしくなかったのだろう。
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