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そんな現実逃避をしていたら、皆の視線が何やら生暖かくなったことに気づき見渡すと、何故かそこにはうっとりとした顔をした帝たちが。
「お若いのにその堂々とした居住まい……尊敬します」
「ああ。やっぱり、零帝を務められるのは零帝様しか居りません。どうか退職など、しないでください」
光帝、続いて炎帝が言い、他の皆もうんうんと頷く。
《ですから、私にはもう力がないと》
「零帝の条件である全属性を保持し、そのマスターの新たな養子よりは魔力量は多いのでしょう?なら零帝様以外、務められるわけないではありませんか」
だから、その新たな養子も僕だから、魔力量は変わらないんだって!
そう炎帝に向かって言いそうになったのを何とか堪え、一つ息をついた。
《今の私は、貴方たちより遥かに魔力量が劣っているのですよ?》
「それでもいいです。貴方様は全属性を保有し、そしてその中でも誰よりも魔力量を持っています。それに、俺たちは見ず知らずの少年を上に見据えるより、貴方様から指示を貰いたい、今更この帝の絆に新たな人物を加えたくないのです」
炎帝の言葉に、皆も同意しているのか何度かかぶりを振った。
「零帝様……どうか、退職などなさらないでください。零帝を務められるのは貴方様だけ、例え力を失おうとも、私たちは貴方様が良いのです」
きっぱりと、炎帝は言い切った。
何事かを訴えるように、熱い視線を向けられる。
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