8-王宮にて

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そしてやってきた、週末。 「ようこそいらっしゃいました」 荘厳な門を抜けた先、案内の元何十メートルと歩かされた先にある扉を開けると、使用人と共に王女が待っていた。 「さあ、こちらへどうぞ」 どうやら王女自身が案内してくれるらしく、足取りしっかりと歩いていく。 それに僕も一歩下がってついていき、ちらりと周りを見渡した。 零帝とはいっても王宮まで来ることは稀で、片手で足りるほどしか行ったことなどない。 高級感漂うシルクの壁に、著名な絵画、部屋を照らす魔具をふんだんに使い、常に照らされている廊下。 だだっ広いそこを進み、向かう先は本物の王子の眠る部屋。 そう。今日は、王子の様子を見に王宮にやってきたのだ。 昏睡状態となっている王子の、状態を探るために。 「こちらです」 大きな部屋の扉の前に立ち、王女は一旦背後にいる僕を振り返った。 頷く僕を見て、コンコンとノックする。 「具合はどうです?」 「依然、変わりありません」 「そうですか」 若干の落胆を滲ませた王女が、そっと天蓋付きのベッドに近づき、僕もそれについていく。 「兄の、ルーク・シグスト・ラ・イスリーヌです」 王女に促され、僕は眠っている王子に近づいた。 王子と瓜二つながら精悍な顔立ちは男であり、やはり本物の王子は王女より男っぽかった。
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