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それにお腹もちょうど空いてきた頃だし、素直に王女の言葉に従う。
「では、行きましょう」
「はい」
そうして僕らは、王子の部屋を去った。
「あの……そんなにじっと見られていると、食べずらいのですが」
「私の事は気にせずに、食事を続けたまえ」
そして今、僕は何故か僕の横にしゃがみこんだ人にジーっと見られながら、昼食をとっていた。
何故こんなことになっているかというと……昼食を取り始め、少し経った頃に遡る。
『ここかい、零帝がいるというのは!』
王宮にも関わらず勢いよく開けられた扉、びっくりしながら振り向くと、そこにはキラキラとした瞳を携え、子供のような表情ながら見た目が大人っぽく、周りに星が飛んでいるんじゃないかと錯覚しそうな人が立っていた。
『君かい?零帝というのは』
部屋にはメイド以外には王女と僕しかおらず、自然とその男の目は僕に向いた。
戸惑いながらも王女に視線を向けると、呆れたような表情を浮かべながら、「彼はこう見えて口が堅いので、大丈夫ですよ」と言われたので、零帝という言葉に肯定する。
『そうですが……貴方は?』
『事前に王女により聞いていたが、こうも若い人が皆を導く零帝をやっていたとは!皆見事に騙されたな!』
自分の世界に入って僕と会話する気がないらしい男から目を逸らし、僕は王女に目で誰か問うた。
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